空き家に通った時から庭に細い竹が生えたり、何かと身近な放置竹林問題。
「むかしは竹林は少なく集落の近くはきれいな棚田だった」と地元の方から聞きます。
全国で竹林の侵害が問題となっています。
地方移住後、仕事やボランティアでも竹林に関われないかと思い、対策と方法を検討してきました。その過程をまとめます。
目次
山口県に移住して興味を持った放置竹林の整備や伐採について考えた
以前『竹の侵入はフレノック粒剤を使った竹林駆除で決まり』で書いた通り、空き家の敷地にハチクが伸びたり、移住前にSNSで竹ビジネスに取り組む事業者と知り合ったり、活動地域に放置竹林の割合が大きいことが興味を持ったきっかけでした。
ただ、何も知識がない状態です。
どのように関われるか検討するため、「名刺1枚」持って人に会うことから、はじめました。
NPO法人山口バイオマス利用研究会との出会い
周南市を中心に竹林伐採や整備、バイオマス利用に取り組む
20年竹林を整備し、高品質なタケノコを出荷しているお宅に見学に。
名高い京都の竹林を思い起こす景観はただ美しく、透き通った空気が最高でした。
地表に出ないタケノコを「白子たけのこ」として道の駅や料亭に出荷されています。
ふんわりした土質の良さが特に印象に残りました。土が大事。#地方移住 pic.twitter.com/mOHblVUiX8
— ふーちゃん♨️地方移住1年生 (@fuuchannext) August 11, 2021
山口県内で竹林伐採や整備をする活動をしている団体を探して、縁があったのがNPO法人山口バイオマス利用研究会です。
竹林の整備や、タケノコおよびその加工品の出荷、バイオマス利用の調査、支援などをしている団体で、早速視察に行かせてもらいました。
上のツイートにあるとおり、とてもきれいな竹林で、清々しい気分になりました。
竹林の視察を通じて、
①タケノコの品質は土質が大きく左右する
②伐採した竹は山林に整理してイノシシなどの獣害防除に使う
③水煮漬物などの加工場の許可基準が厳しくなっている
④竹のバイオマス利用は難易度が高く失敗事例がとても多い
ことを学びました。
山口県は、標高の高い山が少ないせいか、全国で4番目の1万2千ヘクタールの竹林面積があります。
移住した限界集落も、年々田畑をを竹林が侵食している状態です。
竹を伐採しても、ごく一部を除いて、竹のまま販売することは難しく、仕事として竹の伐採や放置竹林整備を行うのは、ボランティアや補助金にたよる場合が大半とのことでした。
宇部市の竹の先進的施設竹ラボ(竹LABO)を見学
竹と水からできた無添加洗濯洗剤「バンブークリア」に注目
山口県宇部市小野にある廃校となった中学校の跡地に、2020年にできた竹の総合施設「竹LAVO(竹ラボ)」に見学に行きました。
竹ラボは宇部市や小野地区の団体から委託を受けたエシカルバンブー株式会社が運営しています。
同社は、竹炭と湧き水から作った無添加洗濯洗剤「バンブークリア」が注目されています。
SDGs(持続可能な開発目標)が注目される中、環境に負担をかけない安心な製品で、時代のニーズを汲み取った商品といえます。
「長年の研究と分析機関のエビデンスがしっかりした製品」ということが、説明を受け納得でき、自宅で購入、使用をはじめました。
畑仕事のよごれもなども、すごく少量の使用で、今まで使ってきた洗濯洗剤と変わりなく落ちています。
以前洗剤の研究開発をしていた人から「洗剤の使用量の表記は売上のため、必要量よりかなり多い。本当はもっと少なくていいのに」と聞いたことを思い出しました。
移住した集落は下水道がなく、洗濯の排水が気になっていたので、ちょうど良い商品でした。
竹は殺菌力が強く、昔から竹炭や竹酢液などで使われていることを思えば、竹洗剤も自然なことにも思えてきます。
現在国内に竹と水のみでできた洗濯洗剤はほかになく、無臭で環境に負担をかけないので、おすすめです。
ボランティアや補助金だけで竹林整備を継続するのは難しい
山口県宇部市の竹ラボで竹ビジネスの難しさを学ぶ
竹ラボには、全国の竹関連製品の展示や、竹の知識が学べるスペース、竹職人やスタッフが作ったミュージアムがあります。
竹関連事業者のシェアオフィス、研究支援などの施設を兼ね備えており、国内、海外からも注目を集めています。
竹を仕事にすることが望まれている昨今ですが、現実はそう簡単ではないと教えていただきました。
地球温暖化防止の観点からニーズの高い竹のバイオマス発電も、現状は失敗事例ばかりで、技術の向上なくして普及が難しいことを学びました。
竹林整備のために竹を伐採しても、基本は売り先がないため、ボランティアか補助金頼みになってしまうこと。
ボランティア頼みでは継続は難しいです。熱心にお話いただいたことにとても感謝しています。
個人レベルの規模で竹林整備をして、春にタケノコの収穫をする。
硬い土質な家庭菜園の土に竹パウダーを投入して土壌改良したり、自分で継続できるところからやってみたいと思っています。
そんな姿を更新していきます。
■タケノコの品質は土質が大きく左右する
■鳥獣害対策が大事(イノシシは竹が好物)
■加工品の基準が厳しくなる(法律行政の規制との関連)
■竹のビジネスでの利活用は難しい